これは極めて無謀なテロ行為であることに変わりはないが、もっと背景を見る必要がある。
三井物産ペルー社長は、「我々民間人は政治と関係ないのだから」としきりに言う。だが、巨大商社はしっかりとペルーの政治と関わりをもち、一般市民から政治的存在として見られていることを御存知ないようだ。経済大国日本の商社というのは、その国の政治にしっかり食い込み、利益をあげている。ODAなどを投入して政権の経済的基礎を支える。これも立派な政治的行為である。「誰のための、どのような援助か」という視点を欠いた、日本の援助垂れ流しの盲点が突かれたという面は否定できない。
「テロリスト」に対する強攻策にばかり目を奪われることなく、冷静な視点が必要だろう。これ幸いと、自衛隊のなかに海外法人救出用特殊部隊をつくれという「世論」を煽ることだけはやめるべきである。