クォリティではなく読者量で世界一(約1000万部)の新聞が、94年11月に「憲法改正試案」を出したことは記憶に新しい。 一面トップから8頁を使った改憲試案。この新聞しかとっていない読者のなかには、「朝起きたら、憲法が改正されたのかと思った」という人もいたそうだ。
1月18日付社説のトップは、「自民は憲法に正面から向き合え」。この日開かれた自民党大会の「平成9年度運動方針」が、社民、さきがけへの配慮から改憲色を薄めたことを批判したものだ。憲法や有事法制問題に対する「逃げの姿勢が目立つ」。「憲法問題を意識的に避けるようになった」等々。改憲を「党是」にしてきた自民党も形無しである。
それにしても、巨大メディアが政権与党に改憲を迫るという構図は、何とも異様である。そういえば、「フロントの首を切るかどうかは、俺が決めることだ」と某選手を罵倒したのは、ここの社長だった。憲法についても、「フロントの首」くらいにしか考えていないのかもしれない。