ライン川には様々な国の船が航行している。後尾の旗で識別できる。娘に「どこの国の旗?」と聞かれても、「あれどこだっけ」という有り様。国の旗の識別は存外難しい。 コソボ戦争で有名になったマケドニア。ボンのメイン・ストリートに5月下旬から6月11日まで、この国の巨大な旗が10メートルおきに掲げられているのを見たときは、その色と柄のセンスに仰天。前の車に追突しそうになった。私の家の隣はブルガリア高官の公邸。2階の窓に国旗を掲げている。この旗と、イタリア国旗を右上に90度回転させて横に引き延ばしたハンガリー国旗とを区別するのは難しい。モナコとポーランドとインドネシアの国旗を旗竿に取り付けるときも、上下を逆にしないよう神経を使うだろう。オランダとユーゴも同様だ。でも、こちらは上下を間違えたら命にかかわる。国際平和部隊としてコソボにいるオランダ軍兵士が、国旗を逆さにつけたら、米軍に攻撃されかねない(冗談)。バングラデシュ国旗の緑地を白地にしたら、どこかで見たような旗になる。世界には似た者同士が結構多いのである。 さて、日本では、「国旗・国歌法案」が成立するという。国会は一体どうなってしまったのか。第二次大戦終結からまもなく54年になるが、アジア地域では、侵略のシンボルとしての「日の丸」に対する負のイメージが依然として残っている。 ところでドイツでは、国歌の1番は歌われない。「世界に冠たるドイツ」という歌詞が含まれているからだ。私が参加したいくつかの行事で国歌が歌われたときも、公式の3番のみで終わった。歌わない人もいる。これが自然だ。 ちなみに、私は学生時代から、大声で校歌を歌いながら群れるのを好まなかったから、早慶戦には実はあまり行っていない。それでも、先日、一人でアウトバーンを1日700キロ走ったとき、校歌を3番まで何回も歌っていた。 〔本稿は、『朝日現代用語・知恵蔵』などで各国の旗を確認しながらお読みください〕 |