人間の生命は有限である。自治体の生命は無限である。
未来永劫へと続く生命の源泉は人間の主体性 創造性
気概 情熱である。歴史を学ぶこと それは人生を生きぬく知恵と勇気
自信と誇りを身につけることである。
沖縄! かつて琉球という独立国であった。
琉球は万国の津粱となり 大交易時代を築いた。
人間・文化・平和の尊厳を国是とし 武器なき王国として栄えた。
先人達は それを誇り 太陽の如く 奔流の如く
巌の如く 逞しく生きてきた。
読谷! かつて「大北」と呼ばれた。
先人は、大北の自然を母とし、歴史を父として
この地に沖縄文化の黎明の花を咲かせた。唐商いの先駆泰期の進貢船を見るがよい。
赤太子の三線の音色を聴くがよい。
「聞け読谷村」 「鳴誉む読谷山」のおもろを読むがよい。
美しい紋様の読谷山花織 勇壮な芸能 個性豊かな陶芸等
南方文化を摂取 止揚し 沖縄独特の文化を創り上げた。
嗚呼! 平和な島 琉球は 魔性の武力の前に潰え去った。
十七世紀 薩摩侵攻に始まる数百年に及ぶ苦難の道程は
明治の琉球処分 沖縄戦 異民族支配 米軍基地の重圧
正に沖縄県民への許し難い人権蹂躪の歴史そのものである。
読谷村は憲法の主権在民の精神を楯に 二重の国家を説き
未来へ飛び立つ鳳の礎をここに打ち立て風水とする。
今 ここに戦後五十二年 平和と自治 民主主義の殿堂として
赤瓦の甍が鳳の如く聳え立つ。
それは「人間性豊かな環境・文化村」を目標に
永久の歴史の批判に耐え得るむらづくりを目指す村民の
果敢な闘いの成果である。
沖縄! 亜熱帯の太陽燦々とふりそそぐ大地である。
青い空 青い海 心豊かな島
感動的な自然の摂理は 母であり 神そのものである。
新世紀を目前に 新たな決意をしよう。
地方は先端であり 地方主権を確立し 輝く地方社会を創ろう。
二十一世紀に向け 人類の共生・共存・協調の時代を創造しよう。
国境を越え 未来への持続可能な社会を創ろう。
美しいみどりの地球環境を守り 輝く宇宙の存続を誓おう。
一九九七年四月一日
読谷村長 山内徳信