2015年1月23日 テレビ朝日 報道ステーション 古賀茂明氏のコメント(書き起こし)

イスラム国がやっていることはもうとんでもないことなんですけれども、言ってることには結構共鳴する人たちが多いんですね。それは何かというと、例えば、第一次世界大戦後にイギリスとかフランスが勝手に国境線決めちゃって民族が分断されたとか、あるいは最近であれば、アメリカのですねアフガンとかイラクとかああいうところの戦争で、アメリカに罪のない女性や子供を含む民間人がたくさん殺されているぞと、そういうことに報復するんだというような主張というのは、一面では嘘ではなくて、イスラムの中には共鳴する人がいるが、だからといって人を殺していいという人はほとんどいないんですけれども、でもその思想自体は結構共鳴する人がいるからこそ人はまだまだドンドン入ってくるということがあるということは、一つ事実として抑えておかなくてはならないんですね。で、私はですね、ただそれよりも今回一番驚いたのは、この安倍さんがずっと中東歴訪してですね、エジプト、ヨルダンなどでこう色々スピーチされてました。で、私、聴いてた感じは、ああすごいパフォーマンスだなと。要するに自分はもうイスラム国と戦うんだぞっていうのをすごいアピールしてるなっていう風に見てたんですよ。ところがこの事件のことが明るみに出てよく聞いてみたら、実はその後藤さんは人質にとられて身代金を要求されてるなんていう状況を政府は知ってたっていうんですね!で、これちょっと私、その、でも「人命第一」という風にいま言ってるんですけど、本当なんだろうかと。というのは普通、人質捕られて身代金の交渉なんていうことになっていたらですね、ま、一番大事なことはその犯人に対しての刺激をしないとかですね、そういう常識的なことがあるのに、今回わざわざむこうに、わざわざ現地の方に近くに行って、私はそのイスラム国をもう批判しますよと。でイスラム国と戦う周辺国に2億ドル出しますよなんていう、まるでこういかにもイスラム国に宣戦布告するかのようなことを言ってしまったと。でこれ普通に考えると、イスラム国はまあ交渉できたらいいなともしかすると考えていたかもしれないんですけれど、そんなことを公の場で言われちゃったら、もう日本政府だって今更お金払いますなんてできないよなと。じゃあこれ交渉できないんじゃないの、だったらもう宣伝に使っちゃおう、あるいはもう思いっきり吹っかけてやろうと、いう風になってしまったんじゃないかなという気がしていて、私はそこはあの、安倍さん、官邸はですね、ま、そういうことでまあ後藤さん犠牲になっちゃうかもしれないけど、でももっと大事なことがあるんだという判断をして、一連のこう発言をしたんだろうという風に思うんですね。

(古館キャスターが一旦受けた後、)

ですからそこは「人命第一です」っていうのは、私は少なくとも向こうに行くまではそうじゃなかったんじゃないかと思うんですけれども、じゃあ何が大事だったんですかと。いうと、やっぱり今おっしゃったようにですね、イスラム国と戦っている有志連合の仲間に入れて欲しいと、ま正式なメンバーにまではなれないけど、仲間と認知してほしい。で、そのためにはほんとは空爆をしたりとか、あるいはイラクに武器を供与したりとか、できればいいんですけど、これできないじゃないですか。だから、元々安倍さんが願っているその目標というのは本当はできないことなんですよ。でもそれをやりたい。で、それをやるためにじゃあ何ができるかというと人道支援しかできないと。じゃあ人道支援をあたかもイスラム国と戦うための支援なんですという風に表現してしまう。で、それを思いっきり宣伝してしまうということをやっちゃったんだろうなと、という風に思います。で、ある意味目標は達成したと思うんですね。アメリカやイギリスはたぶん安倍さんはそんなもうテロなんかに屈しないと、でテロと戦う人たちのためにお金を出しますと言ってくれるのを非常に評価してると思うし、もう今まさに、じゃあもうあなたは仲間ですねと。じゃあ最後まで屈しないで身代金なんて払わないでがんばってくださいね、みんなで応援してますからねって、そっちにドンドンドンドンいま引き込まれている感じがするんですよ。ですけど、これあのまあ後藤さんのね、お母さんが、憲法のことを言ってましたけれども、日本は戦争しない国なんだと、で、やっぱりちょっと一回ね、我々はそこに立ち返んないといけないと思うんですね。その、安倍さんは、いや有志連合に入りたいんだ、あるいはそういう国なんだと言いたいかもしれないけど、でもそんなことは日本は憲法もあるしできないはずなんですよ。で、世界の人たちに今回はですね、非常に変な宣伝になってしまってイスラム国にうまーく利用されてですね、いかにも日本ていうのはアメリカの正義っていうのを日本の正義だと思い込んでいるんじゃないかと。あるいはそのアメリカやイギリスと一緒なんだと、そういう国だぞっていう風に思われてしまいつつある。で、それを世界に配信されていると。それに対して私たちは、いやそうじゃないんですと。だって日本は今までもう戦後ずっと戦争もしていませんよと。憲法ではそんな日本のこと攻めてこないような人たちのことを一方的に敵だなんて絶対思いませんよと。もうなるべく多くの人と仲良くしたいんですよと、そういう国が日本なんですよ日本人なんですよっていうことを、もう一回ここでですね、世界に僕はアピールしていく必要があるだろうなと。今回は、そういう日本のイメージのまったく逆の方に、まあ安倍さんの発言もそうなんですけど、それをまあイスラム国にうまく利用されてですね、そうするとみんなイスラム諸国の人たちも「日本て結局アメリカなのか?」みたいな、「ジャパン イズ ザ ユナイテッドステーツ」みたいなですね。ま、それに対して我々は、例えば、いや安倍さんはそういう印象与えてしまったかもしれないけれど、違うんですよと。もう、あの「JE SUIS CHARLIE(私はシャルリー)」っていうね、プラカードを持ってフランス人が行進しましたけど、まあ私だったら「アイアムノット安倍」と、いうプラカードを掲げて日本人は違いますよと。そんなことじゃないもうほんとにみんなと仲良くしたいですと。決して日本を攻めてない国に対して攻撃するとか敵だっていうそういうことは考えない国なんですっていうのを、しっかり言っていく必要があるんじゃないかなと思いましたね。

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