陸 上自衛隊のマニュアル類のなかに、教範(3-00-01-62-1)「師団」がある。その第 2章第 3節「対着上陸作戦」に、「障害の構成」の一つとして、「ヘリコプターによる散布地雷の敷設」という下りがある(陸上幕僚監部『新野外令合本・改訂版』)。陸自は、87式ヘリコプター散布対人地雷をはじめ、100
万個以上の地雷を持っているという。製造会社は石川製作所。97年度予算で7億円が地雷に支出される。政府は、時がたつと爆発しなくなる装置を付けることを検討中という。これでは、「時限不発弾」になるだけのこと。冷戦後のいま、こんな物騒なものに新たに金をかけるのはやめるべきだ。
NHKの「視点・論点」で触れた「94式水際地雷敷設装置」のような装備は発注を停止すべきである。97年度予算で、乙類(施設機材など)の歳出は75億円、後年度負担額は563
億円。94式水際地雷敷設装置は0.5 セット調達される(『朝雲』1997年 2月27日)。0.5 セットとは何とも中途半端だ。地雷をめぐる世論を意識して、いま一つ腰が引けているようだ。現在、地雷は地球上に
1億1000万個埋まっており、毎月800 人の生命が奪われている。地雷1個の費用は 3~26ドル以下だが、それを除く費用は300 ~1000ドル。毎年100
万個近い地雷が増えている。96年 4月の特定通常兵器条約の再検討会議で、改正地雷議定書が採択された。内容は、探知不可能な対人地雷の使用禁止、対人地雷への自己破壊装置等の付加、地雷の移転禁止など。日本は、ベルギーに続いて、地雷の製造、開発、移転、使用などを一切禁止する法律を制定して、「地雷全廃国」になるべきである。