旧東独の軍事演習場問題が「解決」へ 1997/4/14


4月11日付のdie tageszeitung(http://www.taz.de) によると、旧東ドイツのザクセン・アンハルト州にあるコルヴィッツ・レッツリンガー原野の旧ソ連軍事演習場をめぐる連邦と州の対立に終止符が打たれた。この問題は、ドイツ統一後すぐ、連邦政府が、そこにある旧ソ連軍の軍事演習場を、ドイツ連邦軍に使用させる決定を行ったことに始まる。ナチスが軍事演習場に使い、その後旧ソ連軍が45年も使ったものを、さらに連邦軍が使うのは「もうごめんだ」。「戦車の轍の代わりに、自転車道を」。こんなスローガンのもと、住民は反対運動を始めた。州も基本的に住民の要求を支持した。住民のスローガンは、「平和、環境保護、雇用創出」。冷戦後、演習場は必要ない。一角は、州都の住民の飲料水の水源だ。この地域は、失業率が2割近い。軍事演習場を民間に返還すれば、自然公園に生まれ変わり、雇用も増える。こんな要求を掲げ、住民の運動は続いた。この問題は、沖縄の基地問題につながる。私はこの問題を取材し、その結果を、93年 2月、沖縄県の沖縄県の「軍事基地転換協議会」(会長・大田昌秀知事)で講演した(琉球新報掲載。拙著に収録)。私は、「軍事演習場に未来はない」という住民のスローガンを紹介。参加者(基地担当課長、読谷村長ら)の反応はとてもよかった。この4月に合意された連邦と州との妥協案は、演習場の4分の1(約24000ヘクタール)を民間に返還すること、水資源保護地域での軍事演習は禁止または厳格に制限されること、軍が演習場の業務に関して、400 人の新たな職場を増やすこと、である。今月中に、連邦と州の政府間で協定が締結されることになっている。全面的な返還は実現しなかったが、4分の1は返還され、「環境」と「雇用」の要求も部分的に実現された。だが、特措法「改正」(私はこれを「法律的不法」と呼ぶ)で、沖縄基地問題の解決への道のりはさらに遠のいた。