地球温暖化問題が焦点となっている。12月 1日から、地球温暖化防止京都会議(COP3-UNFCCO)
が開かれている。珊瑚礁の国、キリバスやツバルなどにとっては、地球温暖化による海面上昇は、文字通り「国家存亡の危機」である。便利さを追求するあまり、大量に排出し続けてきた温室効果ガス。その規制は「待ったなし」といえる。
「努力義務」の一つとして、アイドリングをやめる「環境に優しい運転」がある。高田馬場駅から早大正門行きのバスの何台かは、アイドリング・ストップ・バスである。信号が赤になるとエンジンが切られる。兵庫県など、アイドリング規制条例を制定した自治体もある。ただ、アイドリング規制に強制力をもたせるには、もう少し議論が必要だろう。
ところで、『朝日新聞』東京本社版97年12月3日付夕刊によると、アメリカは、軍の意向を受け、国連平和維持軍(PKF)や安保理決議に基づく「多国籍軍」等の活動で生ずる温室効果ガスの排出を、削減義務の枠外にする提案を行うという。「多国籍軍」の中心は米軍だ。国連を前に出しているが、これはリップサービスの類。要するに、米軍の活動は何ものにも縛られないということの表明にほかならない。この傲慢さはすごい。
少し古いが、1991年9月17日の国連事務総長報告はいう。「軍事活動は平時においても環境に影響を及ぼす。軍事活動には、兵器の生産と実験、訓練と演習、軍事基地と軍事施設の建設、警戒態勢と臨戦態勢、および各種の事故が含まれる」。
陸自の74戦車の燃費は1リットルあたり500メートル。かつて北海道大演習場での戦車の移動をよく見たが、膨大な量の燃料を消費し、温室効果ガスもたっぷり出していた。戦闘機の訓練も同様だ。沖縄で米軍の演習を見たが、自衛隊と比べてきわめて派手である。軍隊の車両や航空機、艦艇などは、その目的の性格上、民間のものと異なり、急発進、急加速、急停止、急転回などがメインである。いきおい、燃料の消費も極端に多くなる。
温室効果ガスの削減のためには、市民の努力もさまざまに求められるが、軍事活動を例外扱いするようなことは許されない。むしろ、軍事演習の回数制限や軍事装備の運用規制など、積極的な規制が求められる。