自衛隊の東ティモール派遣に反対する申入れ
2001年7月26日
私たちは、東ティモールに関心を持って活動している市民やNGOです。
新聞報道によると、中谷防衛庁長官は6月21日、「東ティモール独立後に国連が新たな平和維持活動を行なう場合には、自衛隊の派遣を前向きに検討する考えを表明し」「みずから現地を視察する考えを示」したということです(共同通信、2001年6月22日)。また、自衛隊は7月中にニ佐二人を東ティモールに派遣し、UNTAETから平和維持作戦(PKO)についての情報を集めることも報道されています(共同通信、7月16日)。
しかし私たちは、自衛隊を東ティモールに派遣する必要は全くないと考えています。かりに派遣が、新たに編制された国連平和維持活動(PKO)下での「後方支援業務」と「人道的な国際救援活動」に対して行なわれるとしても、私たちは派遣につよく反対します。
自衛隊の海外派遣については、PKO法成立当時から、「自衛隊を海外に出さない」という歴代の政府見解(1954年の参議院決議への答弁や1980年12月の政府答弁)などを根拠に、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と定めた憲法九条に違反することが指摘されてきました。私たちNGOはこの指摘を重く受けとめ、東ティモールなど様々な国で非軍事に徹した平和的国際協力に取り組んでいます。この立場から日本政府にも対しても、自衛隊の派遣ではなく非軍事分野での貢献に力を入れることを求めます。
現在、東ティモールは、8月30日の憲法制定議会選挙を皮切りに、憲法制定、独立と、現実の独立に向けて大きく動き出そうとしています。いま東ティモールに必要なのは、この独立を成功させることです。
独立後の東ティモールの平和は、何よりもインドネシアとの関係にかかっています。日本政府が最優先すべきは、反独立派民兵指導者とそれを支援するインドネシア軍人を処罰するための国際戦争犯罪法廷の設置、西ティモールで活動を続ける反独立派民兵組織の完全な武装解除、インドネシア政府と国軍に東ティモール敵視をやめるよう繰り返し求めることなど、独立東ティモールが平和に生きるための国際環境づくりに力を入れることです。
東ティモールでは、独立を目前にあらゆる分野で東ティモール人の参加が進められています。カンボジアで自衛隊が行なったような道路工事にしても、水補給にしても、医療や教育にしても、すでに国連機関や各国政府、NGOなどが東ティモール人と共同で進めています。そこで大事なのは、東ティモール人と一緒に考え、一緒に仕事をすることです。
以上の立場から、私たちは、日本の「国威」を示し、国連平和維持活動(PKO)の参加実績づくりを目的とした自衛隊派遣に反対します。
呼びかけ団体
アジア太平洋資料センター(PARC)
インドネシア民主化ネットワーク(NINDJA)
地域自立発展研究所(IACOD)
賛同者略