武力なき平和
〜日本国憲法の構想力〜

水島朝穂 著 武力なき平和

冷戦後の平和と安全保障をめぐる状況の中で、日本国憲法の平和主義はいかなる意義をもっているだろうか。気鋭の憲法学者が、グローバルな視野と鋭敏な現実感覚に基づき、有事法制や新ガイドラインなどの「新たな軍拡」の動きを分析・批判しつつ、「平和の憲法構想」を提示する。憲法と平和の現状を考える最良のテキスト。

目 次
序章 ヒグマ・マニュアルと平和論
第1章 冷戦の産物・自衛隊──生い立ちと今

第2章 軍事力は平和の前提条件か──ポスト湾岸戦争の平和と憲法
第一節 平和国際協力の理念と現実
第二節 「一丁の機関銃」のもつ意味
第三節 大きくてギラリと光る「普通の国」
第3章 国家的危機管理と災害救助──何が問われているのか
第一節 どのような災害救助組織を考えるか──自衛隊活用論への疑問
第二節 自衛隊は災害救助隊ではない
第三節 国家的危機管理と「民間防衛」
第四節 平和のためのボランティア──非軍事の国際救助組織考
第4章 「安保再定義」・「有事法制」・沖縄
第一節 アジア太平洋安保の問題性
第二節 「有事法制」とは何か
第三節 「極東有事」研究──危機をあおるのは危険
第四節 沖縄「代理署名」拒否の論理
第五節 安全保障問題と地方自治体──沖縄代理署名訴訟最高裁判決によせて
第六節 沖縄が問う、この国の平和のありよう
第七節 「四分の一返還」の意味──旧東ドイツ演習場の民間転用問題と沖縄」
第5章 「普通の国」と改憲論の周辺
第一節 「普通の国」とは何か──日本とドイツ
第二節 読売新聞社「憲法改正試案」批判
第三節 読売新聞社「総合安全保障政策大綱」批判
第四節 憲法六六条二項と永野法相問題
第6章 軍事力によらない平和
第一節 平和論の今日的状況
第二節 平和憲法の規範力と積極的平和
第三節 非軍事組織への転換